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【検索用 ときをまきもとさないて 登録タグ EHAMIC Synthesizer V と 弦巻マキ 曲】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:EHAMIC 作曲:EHAMIC 編曲:EHAMIC 唄:弦巻マキ(Synthesizer V) 曲紹介 曲名:『時を巻き戻さないで』(ときをまきもどさないで) EHAMICによる弦巻マキオリジナル曲 「Synthesizer V 弦巻マキ」の公式デモソング 歌詞 (動画より転載) ずっと夢みた事が 叶うときに 隣りにいるのが 誰なのか わかるはずも ないけど もっと素敵なことが 起こるように 魔法かけられたら 知らず知らずに手を引かれてた 透明な君の背中に乗って Fly through the sky Fly through the sky 無限にただ広がる空を ふたりで飛び回るのよ そっと重ねた日々が 奇跡のように つぼみをつけてた どんな色の花が咲くのか I've never doubted the eternity You eyes are shining I thought I could control our lives Going to buy some bread for morning So this story won't end 勇敢な君の背中に乗って Fly through the sky Fly through the sky 握り返す手の中 怖いものは全部つぶされていたの あの日の言葉も あの日の情熱も あの日の後悔も 胸に抱き Fly through the sky Fly through the sky 空を飛んだ日を 忘れはしない ほんの些細なことで 傷つけ合い もう会えなくなる人がいる それでも 君が幸せであることを 願う 願う 透明な君の背中で知った Fly through the sky Fly through the sky 無限にただ広がる 空の青さを誰かに伝えたくなる 本当にまだ頼りないけど Fly through the sky Fly through the sky 今度は手を引く番だ 悲しみに打ちひしがれても 夢が叶わないと知っても わたしの背にある温もりを 感じたらもう 時は戻さない コメント 名前 コメント
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わたしをはなさないで 第一話 わたしをはなさないで 第二話 わたしをはなさないで 第三話 わたしをはなさないで 第四話 前編 わたしをはなさないで 第四話 中編 わたしをはなさないで 第四話 後編 わたしをはなさないで 第五話 わたしをはなさないで 第六話 わたしをはなさないで 最終話
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登録タグ:ゲーム 「さくらを探さないで」(さくらをさがさないで)は、映画『七つまでは神のうち』の公式サイトで公開されたFlashゲーム。 内容 まず最初に、説明文と一緒に「さくら」という人物の写真が表示される。この説明文をパスした後、大勢の女子小学生たちが画面上に現れる。この中から、先の説明文と共に表示されていた写真と一致する人物を探してクリックすると、突然青い人形の顔が画面いっぱいに現れ、それと共に爆音が放たれる。 動画 当該ゲームの内容が映っているため閲覧注意。 石川典行 ブラクラに絶叫する - ニコニコ動画 GINZA 参考リンク 8.20公開 映画『七つまでは神のうち』公式サイト コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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東北大学SF研究会 読書部会 『わたしを離さないで』 カズオ・イシグロ 著者紹介 1954年長崎県長崎市生まれ。 代表作は『遠い山なみの光』、『日の名残り』、『わたしを離さないで』など。 海洋学者の父の仕事の関係で5歳の時に渡英、以降日本とイギリスの二つの文化を背景に育った。その後日本かイギリスの国籍を選ぶことになったが、日本が二重国籍を認めていないため、英国籍を選択した。ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学大学院で創作文学を学んだ。卒業後は一時ミュージシャンを目指すも、作家に転向。1982年にデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1989年に『日の名残り』で英国最高の文学賞とされるブッカー賞を受賞、英国を代表する現代作家のひとりとなった。2017年には「壮大な感情の力をもった小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた」などの理由でノーベル文学賞を受賞した。 今やロンドン市民の約四割が非白人となり、人種的・文化的な「英国らしさ」は失われつつある。そのような状況において、人種的には全くイギリス人でないイシグロが「失われゆく英国の伝統」を書きあげ、高く評価されていることは特筆すべきことだ。異なる文化を描いたり、SF的設定・手法を取り入れてみたりした小説が高評価を受けているということこそが、文化的衝突や民族間・宗教間対立の下にある現代の主流文学やSFの可能性を示唆している。 主要登場人物 キャシー・H 本作の語り手。ヘールシャムで幼少期を過ごし、コテージでの生活を経て現在は介護人を務めている。介護人としての腕は優秀で、そのためか、11年4ヶ月と長期間にわたって介護人を務めている。 ルース ヘールシャム、コテージでのキャシーの同期生。かつてトミーと交際していた。友人グループのリーダー的存在。2度目の提供の後、死亡した。 トミー・D ルースと同じく、ヘールシャム、コテージでのキャシーの同期生。ひどい癇癪もち。かつてルースと交際しており、キャシーとも交際する。4度目の提供を成し遂げ、死亡した。 エミリ先生 ヘールシャムの主任保護官で、ほかの保護官よりも厳格なことで知られていた。彼女はヘールシャムの中心人物であり、人間として扱われていなかった提供者たちが、自分たちと同じ心をもつ人間であることを、丁寧な情操教育によって実証しようとしていた。 ルーシー先生 ヘールシャムの保護官。突然ヘールシャムからいなくなった。理想主義的傾向があったらしく、エミリ先生の教育方針に反した言動をしたのが突然の離職の原因とされる。 マダム 時折ヘールシャムを訪れては、生徒たちの作品を持ち帰っていた謎の女性。ヘールシャムの生徒たちに対して謎の恐怖心を抱いていたようだった。本名はマリ・クロードで、エミリ先生の下でクローン人間の待遇を改善させる活動を行っていた。 作中用語解説 提供者 何らかの臓器提供の為に作成されたクローン人間。基本的に使い捨てされているらしく、多くの提供者は三回程度の提供で死に至る。ヘールシャムで育った子供たちは、みな将来はこの提供者となる運命にある。 介護人 提供者の身の回りの世話に従事する者のこと。介護人は提供者の前職とされ、将来提供者となるものはみな介護人として働くことになる。介護人である期間は人によって異なり、腕の良し悪しに左右されるわけではないらしい。 ポシブル クローン人間である提供者たちのもととなった「親」である可能性のある者を指す、提供者たちの間で通じる隠語。基本的に提供者の「親」は貧困層であり、提供者が無邪気に考えるポシブルの理想像とはかけ離れていることが多い。 交換会 ヘールシャムの生徒たちが作った作品を相互に売り出す会。最初に保護官から各自の作品の量や出来栄えによって引換券を貰い、その引換券で他の生徒の作品を買うことが出来る。ヘールシャムの生徒たちは、この交換会を自分だけの所有物を手に入れる機会として、心待ちにしている。 展示館 ヘールシャムの生徒が作った作品の中でも、特に出来の良いものは、交換会の前に選別され、マダムの「展示館」にいくことになるとされていた。 あらすじ キャシー・Hは優秀な介護人として提供者の日々の世話をしている。自身が育ったヘールシャムという施設では、保護官たちが時折見せる不自然な言動を不審がりながらも、多くの友人たちとともに、図画工作など表現することに重点を置いた教育を受けつつ、楽しく暮らしていた。ヘールシャムという閉鎖された環境の中ではあったが、独特な習慣の下で将来をぼんやりと夢見ていた。 ヘールシャムにはマダムという謎の女性が時折訪れ、生徒たちの創作品から出来の良いものを選りすぐりどこかに持っていくのだった。マダムは生徒たちを恐れているようだった。ある時マダムはキャシーがテープに合わせて歌い踊るのを見て涙し、走ってその場から立ち去って行った。 ある日、保護官のルーシー先生がヘールシャムの生徒たちの行く末を包み隠さず話した。生徒たちも自身の存在理由を薄々気づいてはいたが、断言されるのはあまりに衝撃的だった。そしてルーシー先生は突然ヘールシャムを去った。 キャシーたちはヘールシャムを出て、介護人になるまでの期間をコテージで過ごすことになった。 コテージでの生活の中で、キャシーたちは初めて外界に自由に出ていけるようになった。連れだってノーフォークに向かい、ルースのポシブルを探したこともあった。 やがてキャシーは先に介護人となるためにコテージから出て行った。後に提供者となったルースと、ルースの介護人として再開し、提供者となったトミーとも再会した。 ルースは死に際にマダムの住所をキャシーとトミーに託した。ヘールシャムに伝わる「真に愛し合う男女の提供者は、マダムに提供の延期を申し入れることが出来る」という噂を実行するよう言い残した。 キャシーとトミーはマダムの家を訪れたが、提供の延期は全くの噂に過ぎなかった。マダムの家でキャシーとトミーはエミリ先生に再会する。エミリ先生は、キャシーとトミーにヘールシャムの真実を語る。 やがてトミーは4回目の提供を終えて死んだ。キャシーは車を走らせ、行くべき場所へと向かっていった。 所感 一般的なSFとは少し毛色の異なる、情緒的な物語である。 SF的な世界観のもと、懐かしきヘールシャムでの友人たちや先生たちとの思い出が、語り手キャシーの口によって情景豊かに語られる。ヘールシャムという閉じた環境の中で、独特の用語などを交えながら、当時の人間関係までもがつぶさに語られる。我々が経験してきたような、友達との気まずい空気や大人たちのどこかよそよそしい態度までもがありありと語られる。 これらの情感豊かなキャシーの語りこそが、エミリ先生が示したかった「提供者の人間性」のゆるぎない証拠である。エミリ先生たちがヘールシャムで行っていたことは、間違いなく提供者に豊かな感情を与えることに成功していたのである。 しかし、ここで終わっていたらこの作品にはさほど価値はないと思う。重要なのは、キャシーの語りが情感にあふれつつも、どこか抑制のきいたものとなっていて、私たちと少し異質なものを感じてしまうところだ。 この物語は、始めに言ったように、情緒的な物語であるが、ここに欠けているものがある。この欠陥こそが、豊かな情感を異質に感じさせているものだと思う。それは愛だ。 この小説には愛が欠けている。生徒たちが保護官から個人的に面倒を見てもらう機会はなく、ヘールシャムは愛に欠けた施設にならざるを得ない。提供の猶予の条件として伝えられていた条件であり、提供者が追い求めなければならないもの、すなわち提供者にないものとして描かれたものは愛だった。 一方で、私の印象に強く残ったシーンがある。キャシーが『わたしを離さないで』のテープをバックに歌い、枕を抱きながら踊るシーンだ。ここには作品中で唯一、明示されない愛がある。私の子供を、私から離さないで……と。 一旦は情緒性を否定したが、結局この物語は非常に情緒的だ。 今回レジュメを書くために再度読み直してみて、多くの発見があった。ぜひ読み終えた方も、もう一度読み直して、新たな発見に出会っていただきたい。 下村
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「おとーさま」 ここには、私の欲しかったものが、すべて有った。 ふかふかのベッドも、美味しい食事も、愛情に満ちた温かい両親も。 けれど、育ちがよくない私は貪欲で、満ち足りるということを知らずに…… いつだって、あなたの広く逞しい背中に縋りつくため、なにかしらの口実を探していた。 「どうしたんだい?」 そして、あなたは―― どんな時でも。たとえ仕事中であろうと、家事の途中だろうと。 私の呼びかけに振り返って、柔和に微笑み、膝に抱き上げてくれた。 いかにも職人らしい傷だらけの大きな手で、私の髪や頭を撫でてくれた。 私にとって至福と呼べるのは、お父さまに愛惜されることだけ。 かけがえのない愛情と温もりを独り占めにできる、その瞬間こそが、最高の幸せなのだ。 「寂しそうな顔をしてるね。独りにして、悲しませてしまったのかな。ごめんよ」 「……ううん。おとーさまがいるから、ばらしー、寂しくない」 「そうか。でもね、本当に悲しいときは、我慢せずに泣いてもいいんだよ」 「泣いたりしないもん」 あなたの前でだけは、そんな強がりを言えた。 独りぼっちは慣れっこだったのに……今では、独りで居ることが、とても怖い。 愛という概念を得てからの私は、すっかり臆病になってしまった。 お父さまが、私の脆弱さに気づいていなかったワケがない。 すべて承知で、強情を張る私を、温かく見守ってくれていたのね……いつでも。 10年という歳月は、長いようで、意外にも速やかに過ぎ去り―― 私は今年で18歳になった。相変わらず、親離れできない甘えんぼのままで。 でもまあ、それは、お父さまにも言えることだけれど。 出逢った頃と変わらず、私を宝物のように、大切にしてくれている。 それは、幸せなこと。誰彼かまわず自慢して回りたいくらいに、嬉しいこと。 だのに……歓びとは裏腹に、最近、些細なことでも鬱ぎがちになっている。 私は、他人様に誇れるほど、アタマのいい女の子じゃあないけれど…… それでも、気持ちが沈む原因には、思い当たるモノがあった。 ――ここのところ、お父さまは元気がない。 ふと見れば、いつだって遠い眼差しをして、どこか思い詰めた顔をしている。 工房に籠もっている時間も、以前に比べたら、かなり長くなって。 あなたと顔を合わせるたび、言葉を交わすたび、私の不安は駆り立てられる。 いつも、私の作る料理は残さず食べてくれるから、病気ではない……と思う。 仕事がはかばかしくなくて、気落ちしているだけなら、笑い話で済ませられるんだけど。 なんとかしてあげたい、とは思う。そして、もどかしさに唇を噛む。 家族なんだもの。遠慮しないで、私を頼ってくれたなら、喜んで手伝うのに。 お父さまは決して、弱さをさらけ出してくれない。 私は、そんなにも――アテにしてもらえないほど無力で、無能なの? ――日付の変わる頃、私は今夜も、ココロを込めて煎れた紅茶を工房に運ぶ。 上陸しつつある台風が、家の窓という窓を、喧しく叩いていた。 「お父さま」 呼びかけると、この時だけは、お父さまも作業の手を止める。 普段どおりに振り返って、穏やかに口元を緩めた。「ありがとう。いつも、すまないね」 あまり、無理はしないで。そうお願いするのが、私の日課。 「していないよ」と、目尻を下げて答えるのが、あなたの日課。 「……うん。いい香りだ」 言って、お父さまは深紅の液体を、ゆるゆると喉に流し込む。 幸せそうな顔。だけど、頬や目元には、明らかな窶れが刻まれている。 どうして、たかが人形作りに、そこまで没頭するの? なぜ、死に急ぐみたいに、自分を虐げるの? その想いを呑み込めば、ココロの中で、また――無力感が膨張してゆく。 私には……お父さまを止められない。窶れの元凶を、取り除いてあげることも。 この虚しさこそが、先に言った、私を鬱にさせる原因なのだ。 やるせない気持ちで、そっと目を伏せる。 私の目線は、作業台の隅に置かれたフォトスタンドに、吸い寄せられた。 小さな長方形の窓ごしに、ブロンドの美女が、笑いかけている。 ――真紅。お父さまの師匠の娘で、私のお母さまでもあった人。 2人は同い年で、お父さまの方が、ぞっこん惚れていたって聞かされた。 彼女がイギリスに留学したときも、足繁く会いに行ってた……って。 物静かで、口数の少ない人だけれど、その実、一途で情熱的な求道者なのよね。 彼の熱意に当てられたのね、きっと。 クラッと眩暈がして、気づいたら恋に落ちていたのだわ―― ――とは、在りし日の、お母さまの談。 彼女の大学卒業を待って、2人はめでたく結婚した。 22歳の仲睦まじい若夫婦を、誰もが羨み、祝福してくれたと言う。 お父さまたちは、この海辺の街に移り住んで、工房と直売の店舗を構えた。 堅実かつ聡明な真紅の助力で、2人の蜜月は順風満帆だった……らしい。 その頃のことは、伝え聞くばかりで、よく知らない。 2人の甘く幸せな生活に、私が加わったのは、それから程なくしての話だから。 打ち明けると、私は……お父さまたちの、本当の娘ではない。 別の街で路上生活をしていた孤児で、私が8歳のとき、養子として迎えられた。 本当の両親なんか、顔も憶えていない。当然、名前も付けてもらってない。 戸籍とか『なにそれ、美味しいの?』って、知識レベルでしかなかった。 その頃の私が持っていたのは、生き抜くための技能……スリングによる投石術だけ。 闇夜でも正確に石礫を当てるところから、仲間たちに付けられた綽名は、ノクトゥルネ。 標的を、ただの一撃で夢の世界に誘うから『夜想曲』とはね。 今にして思うと、背中がムズ痒くなって仕方がない。 それまでの私の人生は、言葉から想起されるような、清廉潔白な生き様じゃなかった。 食べるために盗みも働いたし、イタズラ目的で近づいてくる輩を半殺しにして、金品を奪いもした。 そういった悪行が原因で住処を追われ、この街まで逃れてきたのだ。 喩えるなら、道端の物陰に蹲って、絶えず周りを威嚇し続けているノラ猫。 身もココロも汚れきって、怯えながら、付け入る隙を窺うばかりの生活しか知らなかった、私。 あなたたちは、そんな私に、そっと手を差し伸べてくれた。過去や素性を、詮索もせずに。 『薔薇水晶』という、ステキな名前まで、プレゼントしてくれた。 初めて知った他人の温かさ。安心して眠りに就ける夜の心地よさ。飢えも渇きもない生活。 育ちの悪い私に対する、お母さまの躾や教育は厳しくて、反撥もしたけれど…… それでも、汚濁と屎尿の臭気に満ち満ちた橋の下に比べれば、ここは別天地だった。 1匹の動物にすぎなかった私は、2人の愛情によって洗い清められ、 1人の人間――ひとりの女の子として生まれ変われたのだ。 もちろん、幸せなことばかりじゃない。悲喜こもごも、様々なことがあった。 最も衝撃だったのは、ここに来てから2年が過ぎた日のこと。 ちょうど、今夜みたいな、台風の日だった。 強風に飛ばされた大きな看板から私を護るため、お母さまは、その身を楯にして―― 風のように、舞台から去ってしまった。 おなかに宿っていた、新しい命――私の妹も連れて。 あの日から、もう8年。 彼女の急逝は、私たち残された者のココロに、一生かけても癒えないだろう深い傷を残した。 私も、お父さまも……今もって、この胸に埋めようのない空隙を抱え続けている。 葬儀の席で、穏やかに微笑むお母さまの遺影を見つめながら、私は懺悔し続けた。 すべて私のせい。嵐が来ているのに、私が外に出たりしたから。 きっと、あれは天罰だったに違いない。 私が働いてきた悪事の清算として、彼女と赤ちゃん、2つの命が支払われたのだ。 当時は、そうとしか考えられなかった。 ……ううん。今も、そうとしか考えられないでいる。 ごめんなさい、お父さま―― ごめんなさい、お母さま―― ごめんなさい、実体を持って産まれることなく消えてしまった、私の妹―― 私が死ねばよかったの。私なんか、ここに来なければよかったの。 いっそ、どこかで野垂れ死んでさえいれば……。 お母さまが大地に抱かれ、二度と会えない世界に旅立った、その晩。 私の過去を、お父さまに話した。お母さまを死に追いやったことを謝った。 そして、こうも続けたよね。 さよなら。もう、迷惑かけられないから、出ていく――って。 直後、私は殴られていた。思いっ切り頬をひっぱたかれて、吹っ飛んでいた。 それが、お父さまに撲たれた、最初で最後の記憶。 これで終わり。楽しかった日々も、なにもかも、ぶち壊し。 頬の熱さと耳鳴りの中で、そう思っていたのに…… お父さまは跪いて、子供のように泣きじゃくりながら、私を力強く抱きしめた。 「バカなことを言うな! どこにも行かせるものか。 誰がなんと言おうと、きみは薔薇水晶だ。ぼくたちの大切な娘なんだ!」 普段は寡黙な、お父さまが……矢継ぎ早に迸らせた言葉の数々―― あの、肺腑を衝く叱責が、私を本当の意味で、薔薇水晶にしたのだと思う。 名無しの『夜想曲』ではなく、どこにでもいる、幸せな女の子に。 その日から――私は、もう泣かないと、お母さまと妹に誓った。 私まで悲しみ続けていたら、お父さまは、もっと辛くなってしまうから。 彼女たちの分まで愛して、支える。それが……生き残った私の使命だ。 愛用していたスリングを眼帯に作り替えて、私は自らの左眼を封印した。 強くあるための、おまじない。泣かないための自己暗示。 その奥に涙を押し込めて、私は、この8年を生きてきた。 「おいしかったよ。ごちそうさま」 空になったティーカップが、差し出される。私は黙って、それを受け取る。 いつもならば、このまま引き上げていた。 でも、今夜は……そんな気分になれなくて。 「お父さま」 作業に戻ろうとする背中に、そっと呼びかける。 そして、お父さまが振り返るより速く、大きな背中に身体を寄せた。 私の指を離れたティーカップが、床で砕けたけれど、キニシナイ。 がっしりとした肩に手を乗せ、広い背中に頬を擦りつけて…… シャツに滲みたお父さまの匂いを、胸いっぱいに吸い込んだ。 「今夜はもう、お休みになって」 「……薔薇水晶?」 明らかな戸惑いが、僅かな挙動から伝わってくる。 それを分かっていながら、私は喋ることを、やめようと思わなかった。 「お父さまは、つかれている。私には分かるわ。私だから分かるの」 「どうしたんだい? 今日はまた、随分と甘えんぼだね。 ははぁん……さては、なにか欲しいものがあるのかな?」 「茶化さないで」 普通に言ったつもりが、私の口調は、私自身でさえ戸惑うほど、強いものになっていた。 お父さまも、らしからぬ私の様子に驚いて、口を噤む。 黙りこくった私たちの間に、がたごと……。 雨と風が、ひっきりなしに揺らす窓の喧噪が、割り込もうとする。 私は、それらを―― ありとあらゆる邪魔者を排除したくて、背後から、お父さまを強く抱きしめた。 「今、お父さまが作っている人形――」 両腕に、あらん限りの力を込める。 身体を密着させながら、私はあなたの肩越しに、作業台の上を覗き見た。 そこに横たわっているのは、ビスクで作られた、うら若い乙女のボディ。 膝まで届く金色のウィッグと、紺碧のグラスアイ。 「それ……お母さまなんでしょ?」 見紛うはずもなかった。表情の一片に至るまで完璧に、お母さまを再現していた。 やはり、お父さまは稀代の天才人形師。でも、才能の使いかたを間違っている。 あなたの窶れは、仕事に疲れているからではない。 真紅の幻影に、今もって、憑かれているからだ。 それは、ある意味、私の望みだった。夫婦仲がよい家庭に、憧れていたから。 けれど……別の意味で、私が最も拒絶したい現実でもあった。 お父さまの愛情が、私以外に向けられることを、いつからか嫌悪するようになっていた。 どうして―― なぜ今更、お母さまの人形が必要なの? 人形のお母さまを愛そうと言うの? ここにいる、私ではなく? 私は、フォトスタンドの中で微笑んでいる真紅を、横目に睨みつけた。 そして、ココロの中で、彼女をなじった。 ……貴女は卑怯よ。 お父さまへの愛を、私と競い合うこともなく、勝ち逃げしてしまうなんて。 私、これから、どうすればいいの? ――解らない。考えれば考えるほど、煩悶はガン細胞のように増殖するばかりで。 アタマが、どうにかなってしまいそう。 ねえ、どうしたらいいの? 教えて……お母さま。 「私では、ダメなの? 支えにも、慰めにもならない?」 「……薔薇水晶」 「私は、こんなにも…………お父さまのこと、誰より好きなのに」 「よさないか、薔薇水晶」 「イヤっ!」 私は激しく頭を振って、駄々をこねる。 でも、抱きしめていた腕は、大きな手によって、そっと引き剥がされた。 その手を振り解いて、私はまた、しっかりと抱きつく。 あなたの溜息が、私のココロを突き放そうとするように、長く尾を引いた。 「僕だって……きみのことを、誰より大切に想っているさ」 「娘としてだけ、でしょ? 私は、ささやかな愛情を求めてるんじゃない。 人形のように愛でられるのを待っているだけなんて、イヤ! 一方通行の愛じゃなくて、1人の女の子として、愛して欲しいの」 お母さまに――真紅に勝ちたい。私は、激情に胸を焦がした。 死んだ人間には勝てないかも知れないけれど、それでも。 棄権したら、なにも掴めないまま、道端で冷たくなるだけ。 路上生活者だった頃の経験則で、イヤと言うほど、それを知っていたから。 「お母さまの代わりになんか、なれないし、なるつもりもない。 だけど、これ以上、家族ゴッコを続けるのは、もうイヤなの! 娘としてじゃなく、女として、あなたと幸せな家庭を築きた――」 私の告白は、突然に遮られた。 お父さまが、弾かれたように椅子を立ったから。 そして、驚き、後ずさった私に、あなたは容赦なく平手を振り下ろした。 左の頬が痺れ、少し遅れて、じわりと熱を帯びてきた。 撲たれた拍子にはずれた眼帯が、ぽとり……と、足元に転がった。 2度目の殴打。それは私に、二度と泣かないという誓いを破らせた。 8年もの間、ずっと溜めてきた涙が、奔流となって瞼から溢れてくる。 滲んだ世界の向こうで、お父さまは、苦渋に満ちた顔をしていた。 そして、気まずさに耐えかねたように、私から顔を逸らして―― お母さまのフォトスタンドを、手にとった。 写真に注がれた悲しげな目が、問いかけていた。 きみだったら、こんなとき、どう諭すのだろうか……と。 私は、打ちひしがれた。あなたは今も、お母さまを想い続け、頼りにしている。 この8年、一緒に暮らしてきた私ではなく、既に過去の人である真紅を―― いたたまれなかった。本音をぶつけた私から、瞳を逸らさないで欲しかった。 恥ずかしさと、悔しさと、胸が張り裂けるほどの悲しさと。 すべてが綯い交ぜになった感情を抑えきれず、私は踵を返して、その場を逃げ出した。 そうするより他に、自分を保っていられる自信がなかったから。 着の身着のまま、家を出た。その途端、痛いほどの豪雨に、肌を打たれた。 玄関先で、私は一度だけ、歩みを止めた。 でも、あなたは追いかけて来てくれなくて―― 「さよなら……お父さま」 涙を溢れるに任せて、私は深夜の街を駆け抜けた。 もう二度と、ここには戻らないつもりで。 だけど、どこに行けばいいのか? 私は土砂降りの雨の中、立ち尽くした。 生きてゆくには、先立つモノが必要だ。 お金……ワケありの女が、手っ取り早く、かつ確実に稼ぐとなると…… やっぱり、女であることを最大限に利用して、春をひさぐしかない。 そういう店なら、当面の住処も世話してくれるだろう。 私は、そんな生き方をする星のもとに、生まれついたのかな。 顔も知らない実の母親も、案外、娼婦だったのかも知れない。 客と商売女の、ゆきずりの関係でできた娘――それが、私? 仮定にすぎないけれど、その発想は妙に、しっくりと胸に落ち着いた。 それによって、ネガティブな思考が、ドミノ倒しになって押し寄せてきた。 そう。私は望まれずに産まれ、厄介払いされたに違いない。 誰にとっても、私なんか必要ではなかったのだ。 お父さまたちだって……捨てネコでも拾う感覚で、私を保護したのだろう。 いっそ、本当にネコとして産まれていたなら、よかったのに。 そうしたら、まだ幸せでいられたかも知れない。 仕事中は、お父さまの膝の上に、丸くなっていられるし。 夜は、あなたと同じベッドで眠れるから。 「……馬鹿みたい。もう戻らないって、決めたのに」 吹き荒れる雨風の中で、私は弱音と溜息を混ぜ合わせて、宙に投げ捨てた。 その未練の塊は、もみくちゃにされ、跡形もなく散っていった。 もう帰れない。だけど、新しい生活を探すことも億劫で。 私の足は、海へ――港の防波堤へと、向かっていた。 遠目にも、激しく波が砕け、飛沫の散る様子が見て取れる。 「……あはっ。いいこと思い付いちゃった。 お母さま……今から、そっち行くね。そうしたら、勝負しましょう。 私は貴女に勝ってみせる。必ず勝って、生まれ変わるの。そして――」 今度こそ、愛する人の隣りで、愛されながら暮らすのだ。 防波堤に近づくのは、意外に大変だった。 吹きっさらしの暴風が、華奢な私を、押し戻そうとする。 横殴りの雨と、海水の飛沫に顔を打たれて、目を開けるのも辛い。 けれども、その程度で、私を止めることなどできない。 どうせなら、もっと荒れ狂うがいい。私は胸裡で嘲笑ってすらいた。 最後まで波瀾万丈。なんとまあ、私に相応しい幕引きだろう。 「すべて洗い流して。私の生きた証も、この身に染みついた咎も」 防波堤の先端までゆく間に、何度か、打ち寄せた波に足を取られて、転んだ。 服と言わず髪と言わず、全身びしょびしょ。打ち身と擦り傷が、痛い。 その上、絶え間なく吹きつける海風に、体温を奪われ続けていた。 足元を洗う波の方が、むしろ温かく感じられる。 「もっと、早く……こうすればよかった」 それが、ココロに浮かぶ、偽りない心境。私は10年前に、こうすべきだったのだ。 あなたたち夫婦と、巡り会ってしまう前に。 そうしたら、お母さま――真紅は、この世を去らずに済んだ。 妹は無事に産まれ、あなたは愛する妻子と一緒に、今も笑顔でいただろう。 「ごめんなさい」 償いの言葉を口にして、私は暗くうねる海へと、この身を投げ出した。 中編につづく
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世界観を崩さないで ポケモンの世界の、とある地域のとある場所… という設定を汲んでみんなロールしているわけですから 著しく世界観をぶち壊す設定、行動、オリジナル技は地雷主張の他成りません。 某ハンティングゲームや機動戦士ネタ、ポケモンの枠をぶっ飛んだ設定が 一時期目白押しになって廃れたんですよね…。 与えられたオモチャで精一杯楽しみましょう、持ち込み禁止!
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それを空に飛ばさないで 藤崎诗织的Image Song之一。 此曲曾被重新录制过。 歌曲信息 作词:大内正徳 作曲:藤田超 编曲:古川もとあき Bass:白石慶一 Guitar All Other Instruments:古川もとあき 演唱:金月真美 歌词 日曜の喫茶店突然に 別れを切り出したあなたから ふられる瞬間の私 グラスにうつせば 冷たさで大きくなったしずく 涙のようね それを嘘だと微笑んで 深刻な瞳しないで 私かばって うつむいたその 横顔もステキ それを笑顔でごまかして いつもみたいに身勝手に そんな態度も優しさだった 今頃気づいた 月曜の街角で出会うっても いきなり友達に戻れない 短縮ダイヤルから あなたの番号 外す前に一度ベル鳴らして 無言で切った それを罪とは言わないで 少し意地悪な私を 分かってるから 作り笑いが一番の嘘ね それを夢とは呼ばないで 叶わない訳じゃないから 大切なのは優しさだった 今頃気づいた 毎朝待ち合わせた 時刻になる頃 目が覚める間は あなたもまだ 一人でいてね それを傷とは決めないで 雨上がりの虹でさえも 毎日出から そのうち誰も見向かなくなるわ それを空に飛ばさないで アトリウムに舞う フェザープレーン 迷子の恋を風葬にして 痛みが引くように 收录CD 心跳回忆 Vocal Best Collection (1995/12/21) 藤崎诗织 Image Song集 たいせつな君へ (2002/02/14) (2002 MIX) 相关页面 音乐
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タグ 感動 曲名て 歌 いとうかなこ 作詞 江幡育子 作曲 磯江俊道 作品 ちびママED teeny-weeny mama-ちびママ サウンドトラック
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口には出さない思いやり 半蔵門雪 CV 沼倉 愛美 ステータス ※ステータスの数値は初期値になります。 型 属性 レア度 HP ATK 巫女 紫 SSR 470 1690 アビリティ スパイの世界は常に戦場 発動条件 効果 開幕 仲間全員の獲得する昇段EXP+10%、範囲型勇者のATK+25% 神花・覚醒 神花/覚醒時 獲得精霊 初回神花 二回目回神花 SR鴉天狗(紫) 一定覚醒値報酬 必要覚醒値 5 SSR鴉天狗(紫) 神花解放 段階 必要コイン 必要属性結晶 上限Lv30 - - 上限Lv50 - - 上限Lv70 - - 上限Lv99 - - ボイス 1 - 2 - 入手方法 リリフレコラボガチャ 名前
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【検索用 めるへんをころさないて 登録タグ CeVIO ive とあす め コールスローイ 星界 曲 曲ま】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ive 作曲:ive 編曲:ive 絵:とあす(Twitter) 動画:コールスローイ(Twitter) 唄:星界 曲紹介 曲名:『メルヘンを殺さないで』(めるへんをころさないで) ive氏の23作目。 歌詞 (配布テキストファイルより転載) 魔法とか 夢だとか みんな騙してるだけじゃん 誰も私のことも見てないし もうほんとに馬鹿みたい ああ触れて欲しい ああ触れて欲しい 心の歪も愛して欲しい あなたのために 死んでもいいわ 消える 消える 私 「あなたは私の神様」 「きっとそう私だけの神様」 「全てを受け止めてください 私が全てに成り代わる」 「あなたは私の神様」 「きっとそう私だけの神様」 「全てを受け止めてください 私の全てはあなたのものに」 ああ触れないで ああ触れないで あんたの為の"可愛い"じゃない ただ気持ち悪い ただ気持ち悪い 消えて 消えて 死んで 「あなたは私の神様」 「きっとそう私だけの神様」 「全てを受け止めてください 私が全てに成り代わる」 「あなたは私の神様」 「きっとそう私だけの神様」 神様 神様 神様... あなたの指が 触れてるだけで 何もいらないと思えたのに 私のメルヘン 殺さないでよ これで全て終わり? 聞いて 触れて欲しい ああ触れて欲しい 心の歪も愛して欲しい あなたのために 死んでもいいわ 消える 消える 私 コメント 名前 コメント